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【講演会・フォーラム】

【日野秀逸先生の医学概論・・連続5回】

医療倫理の展開を訪ねる旅- 日野秀逸
医師、医学博士(大阪大学)、経済学博士(東北大学)

【第5回】

19世紀末の治療革命以来の医学・医療の発達と新たな倫理的課題

近代医療・現代医療における倫理的課題

A 医療労働の対象を決めるものとしての医療倫理

医療労働の対象を規定している倫理的要因
「大飯原発 3、4 号機運転差止請求事件」判決

B 近代医療の成立

労働手段の発達――外科を例に
専門家が担い手に
第1の条件:
学ぶべき内容の形成。
細菌学や栄養学などの新たな学問も登場。解剖学、生理学、病理学、診断学も19世紀を通じて大きな発展を示した。
これらの学問が、系統的に、しかるべき師について学ばなければ身につかないレべルに達した、ということを示している。
また、治療効果は大きいが、同時に危険性をも併せ持つ麻酔剤や消毒薬、さらには化学合成による鎮痛解熱剤などが登場したが、それらを扱う者に対して、専門的な知識と訓練を要求するようになった。
第2の条件:
19世紀の後半に日本(1868)、ドイツ(1871)など、民族的統一国家が次々に登場し、集権的国家が全国的規模で権力を振るうことが可能になり、全国共通の資格を、国家の名において認知できるようになった。
中央政府から委任を受けて、地方政府が資格を認定する場合もある。
第3の条件:
最も根本的なもの。医療への国民の需要が高まったこと。
医療に病気を治す能力があることが、社会的に認知されたこと。
医療サービスを消費する人数の飛躍的拡大を促し、治療の場としての病院や診療所の数を急速に増やした。
こうなれば、サービスに対する品質管理が社会的に必要になる。管理は人と場の双方で行われるが(日本では医療法が場の管理の、医師法や保助看法などが人の管理の根拠法である)、専門職能制度として、人の管理が先行したのである。

日本の近代医療―富国強兵策として

長与専斎から後藤新平へ
富国強兵と治安対策としての保健・医療政策
保健国策――人間の全面的管理

現代の保健・医療――社会改良から人権と参加へ

第1次世界大戦とワイマール憲法

現代の医療・科学と人権

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