当東北地方医療・福祉総合研究所の助成により行った調査研究報告書です。
私たちは、宮城県内の民間保育園の経営部門(理事・評議員・園長)にかかわっている者同士で、民間保育園経営勉強会をささやかに続けてきています。
近年、私たちの所属する保育園でも保育士が見つからないという問題が深刻になってきました。
離職者が多いからあらたな保育士探しが始まるわけで、「何故保育士が離職するのか?」を突き止め、
対策をすれば離職者を減らすことができるのではないかと考え、「保育政策検討会」を新たに作り、今回の調査研究に取り組みました。
調査研究は次の2つから構成しています。
一つは宮城県内の保育施設への質問紙調査、二つ目は保育士養成校(県内7校)における保育所への就職実態調査です。
質問紙は宮城県内保育施設637ヵ所中307ヵ所(48.19%)からの回答があり、質問紙と並行して、20ヶ所の保育施設を直接訪問しての聞き取りも行いました。
この間政府は、待機児童対策・子育て支援策という名のもとに、子ども・子育て支援法(2012年)を制定し、その後子ども・子育て新支援制度(2015年)を実施してきています。
厚生労働省(保育所)・文部科学省(幼稚園)の他に内閣府が所管する企業型保育事業も創設されました。
このようにして今日、保育施策は市場主義に投げ出されようとしてます。
保育の量が増えることと同時に、「子どもの最善の利益を保障する」「養護と教育を一体的に行う営みの場」としての保育施設として、子どもにとって、保護者にとって、又そこで働く保育者にとって、保育施設がどうあるべきなのかを追求する必要があると考えます。
今回の調査で、若い職員のメンタリティに配慮し、職場の人間関係を丁寧に作り上げていくことの大切さが、定着をすすめるうえで重要であることもわかりました。
保育の面白さや喜びを保育者同士が分かち合ことのできる・休憩や休暇が取れる働く場としていくためにも、保育士の配置基準(0歳児3人に保育士1人・1-2歳児6人に対して保育士1人・3歳児20人に保育士1人・4-5歳児30人に対して保育士1人)の見直しや、
公定価格(年齢ごとに国の決めた単価によって保育施設に支払われる)の増額等が望まれ、国や自治体の施策の不十分さが浮き彫りになりました。
コロナ禍でも、保育施設は働く保護者を支援するため頑張って「原則開所」してきました。
宮城民医連には宮城厚生福祉会の各保育園が加盟しています。
報告書は、当研究所に置いてありますので、ご希望の方は事務局まで申し出ください。
報告:小野ともみ(当研究所理事)