被災の状況(1)
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死者数a |
行方不明者数b |
a+b |
人口国調c 2010年 |
a+b/c % |
宮城 |
9,539 |
1,249 |
10,788 |
2,347,975 |
0.46 |
岩手 |
4,673 |
1,129 |
5,802 |
1,330,530 |
0.44 |
福島 |
1,612 |
202 |
1,814 |
2,028,752 |
0.09 |
全国 |
15,891 |
2,584 |
18,475 |
|
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被災の状況(2)震災関連死の経過
震災関連死者数 3県推移 (復興庁)
被災の状況(3)医師の死亡・行方不明
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死亡(行方不明) |
公立病院 |
民間病院 |
開業医 |
宮城 |
10名 (0) |
2名 |
1名 |
7名 うち1名は閉院中 |
岩手 |
6名 (1) |
0 |
0 |
6名 うち2名はご夫婦 |
注①宮城県医師会報告では死亡会員9名であるが、非入会会員1名の死亡医師あり。
被災の状況(4)医療機関
津波被災地区 |
医療機関数a |
全壊~
半壊数b |
被害率c
b/a*100 |
休廃止数d |
休廃止率
d/b*100 |
転出数 |
転出率 |
宮城 |
363 |
62 |
17.1% |
44 |
63.7% |
|
|
岩手 |
127 |
53 |
41.7% |
10 |
22.2% |
|
5.66% |
注①宮城県は仙台市を除いている。
注②転出とは、他市町村での再開業または勤務、岩手県の転出者はすべて内陸部の病院勤務医に就任。
宮城県医療機関の被災の特徴
【震災を転機にした医師、医療機関の移動について】2014.9時点
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移動医師数 a |
同一管内移動数 b |
管内移転医院数 c |
管外移動医師数 d |
仙台市移動 e |
管外開業 f |
仙台市内開業 g |
県外移動 h |
宮城県 |
69 |
27 |
24 |
42 |
16 |
13 |
6 |
5 |
比率(%) |
100.0 |
39.1 |
34.8 |
60.9 |
23.2 |
18.8 |
8.7 |
7.3 |
- ①
- 管内、管外は市町村単位のこと
- ②
- 移動医師数aとは、震災前と勤務地が変わった医師数。
- ③
- bとcの差3は、医院を再開できず同一地区での勤務となった医師数。
- ④
- 移動医師の60.9%は、他地区での開業または、勤務医となった。
- ⑤
- 管外移動の42名中16名(38%)が仙台市へ勤務を移した。
- ⑥
- 仙台市へ移動した16名(23.2%)中、新規開業したのは6名。
- ⑦
- 県外移動は5名(7.3%)であった。
岩手県被災地の被災状況と復旧 2014.6時点
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医療機関数 |
全壊流失 |
半壊など |
計 |
自院復旧 |
新設復旧 |
仮設診療 |
閉院 |
久慈医師会 |
23 |
1 |
|
1 |
|
1 |
|
|
宮古医師会 |
40 |
5 |
12 |
17 |
10 |
|
4 |
3 |
釜石医師会 |
26 |
12 |
4 |
16 |
7 |
2 |
5 |
2 |
気仙医師会 |
38 |
7 |
16 |
23 |
11 |
3 |
4 |
5 |
計 |
127 |
25 |
32 |
57 |
28 |
6 |
13 |
10 |
*閉院した10医院のうち、5医院は医師の死亡(6人)による。
他3人は、内陸部民間病院勤務
宮城県沿岸部の医療機関再開状況(石巻・気仙沼)
岩手県沿岸部の医療機関再開状況
復旧に影響したと思われる県の施策の違い〜助成金の差〜
宮城県 |
はじめちょろちょろ・・・遅きに失した
当初:上限1000万円、補助率 1/3
次に 上限2000万円 1/2
最後に上限なし 3/4
|
岩手県 |
どん!と 勇気百倍
当初から(有床)上限1.5億円、補助率3/4
(無床)上限1億円 補助率3/4
歯科診:上限7,500万円 補助率3/4
国の基準に県の助成を上乗せして始めた!!
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*岩手県は、震災当初に、県医師会事務方と県庁担当官が被災地を訪ね、被災医師の要望を聞いて歩き状況把握に当たった。
*宮城県は・・・・・
両県医師会の取り組みの特徴
宮城県
医師会 |
- *
- 県の対策本部ヘ参加
- *
- 発災10日目から役員による被災地視察開始
- *
- 発災1ヶ月目の会員アンケート
- *
- ・・連携が遅遅として進まない。・・官民一体となって「地域医療復興」にとりくまねばならない。
(嘉数県医師会長:宮城県における『大災害と医療復興』)
|
岩手県 医師会 |
- *
- 県当局・岩手医大・県医師会の日常活動のトライアングルが有効だった。
- *
- 県医師会幹部の初動ー3.19から被災地、被災会員回り
- *
- 県医師会と県の事務官が被災医師を訪問し、状況調査と要望を聴取してまわった。
- *
- 県立病院への医師派遣(土日祝祭日:県立大槌、県立山田病院)
- *
- 陸前高田仮設診療所運営(7診療科:2011.9~2016.4)
2016.2. 済生会系が突如運営に乗り出し表明!!
〈資料〉
*宮城県医師会発行2013.9:「東日本大震災記録誌-震災を越えて明日へー」
*岩手県医師会発行2014.6:「強絆復興 東日本大震災対応の記録」
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両県立病院の取り組み
宮城県 |
県立病院の機構として統一した活動の記録なし。
県立がんセンターは、24時間診療体制、休日急患センターに医師、
看護師、薬剤師の8人のチームを、避難所巡回2チームを各2週間配置した。
その他の医療機関は不明
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岩手県 |
医師313、看護師565、薬剤師49、放射線技師28、検査7、栄養士12、リハ・ME34、
事務132 総計1,140人を7県立病院に他の県立病院から派遣した。
期間2011.3.12~4.30
県立病院職員の死者・行方不明者10名(正規5、臨時5)
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*宮城県の県立の3病院は2013年4月から独立行政法人化した。
*神戸では、避難所にいち早く県立病院職員による仮設診療所を設置した。
*全国で、県立病院数第1位岩手県、第2位兵庫県
宮城県を歩いて聞いた こえ・声・・・
- 自らを“宮手県人”と自嘲気味に言う・・(医師会幹部夫人 )
- がれきをかき分けて県庁に何度も呼び出された。業者も伴って来い!
- 補助金があてにならないことを知り、他地区に移転新築した・・(全壊開業医)
- 院長一家の夜逃げ?!・・悲しみを引きづる・・(公立病院事務幹部)
- 県、保健所が見えない!・・・(自治体保健師)
岩手県を歩いて耳にしたこと
- 会長を尊敬する・・(県医副会長談)
- 知事を信頼する・・(仮設県立病院長談)
- 日頃の「肋骨支援」が奏功した・・(県立病院事務長)
- 県-医師会-医大の日頃の密な協力関係が効いた
- 生きがいを感じる・・(大槌町開業医師)
- 医師との水平関係でやりがい・・(大槌町保健師)
- 組合が闘ってくれる・・(大槌町保健師)
- 3.11で知事は変わった・・(組合幹部)
地域医療構造の違い〜県・公立医療機関に見る〜
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県立病院 |
県立診療所 |
公立病院 |
公立診療所 |
1自治体当り県・公立病院数 |
1自治体当り県・公立病・診数 |
宮城県 |
4* |
0 |
19 |
14 |
0.32 |
0.52 |
岩手県 |
17 |
6 |
7 |
25 |
0.41 |
0.93 |
【特徴】
- ①
- *宮城県県立4病院はすべて特殊専門病院。うち3病院は独立行政法人。残り1病院は半官半民
- ②
- 宮城県は、県立病院は少ないが市町村立の病院が岩手県より多い。
- ③
- 市町村の視点からすると、岩手県は1市町村当たり1弱(0.93)の県・公立の医療機関がある。
- ④
- 宮城県は、2自治体に1ヶ所の公立の医療機関の配置となっている。
*この違いが、震災時の県行政の医療支援に影響したと考えられる。
*岩手は“肋骨支援”が、直ちに起動した。
地域医療構造:一極集中か多極型か
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病院・病床数(占有率) |
診療所(占有率) |
仙台市 |
|
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盛岡市 |
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地域医療圏比較
両県知事の復興政策(理念)の比較
宮城県復興基本理念(H23.10策定)
- ①
- 震災に強く安心して暮らせるまちづくり
- ②
- 県民一人ひとりが復興の主体・総力を結集した復興・・・自力復興の原則
- ③
- 「復旧」にとどまらない抜本的な「再構築」
- ④
- 現代社会の課題を解決する先進的な地域づくり
- ⑤
- 壊滅的な被害からの復興モデルの構築・・・上からの復興の押しつけ
村井知事の復興哲学(A,Bによる)
- 最大のピンチを最大のチャンスに・・・戦場の哲学・ゲーム感覚
- 「復旧」という近道でなく「復興」、次の世代のために
「再構築」⇒まず建築制限をかけた・・・デベロッパー発想?
- 宮城県を見れば、未来の日本がわかるような再構築
- 弱音を吐かない県民こそが「復興のシンボル」・・・県民を蔑視
⇒乳幼児医療費無料化、被災者医療費減免拒否の理念観
- 民の力を最大限活かす「脱・官力」(知事1期目のキャッチフレーズ)
- 民間投資促進特区:34市町(323地域)を新規立地企業の法人税5年間免除
岩手県達増知事の復興3つの基本
知事とは知るを事とする。何事にも耳を傾けることから始まる。
「安全の確保」
「暮らしの再建」
応急仮設建設/災害公営住宅/被災者生活再建支援制度加算支援金制度/医療施設/公立学校復旧/公立文化施設・体育館
「なりわいの再生」
すべての漁港を再生する
「いのちを守り 海と大地と共に生きる
ふるさと岩手・三陸の創造」を目指す
(達増知事)
復興計画委員の構成の違い
宮城県
12名 |
座長:三菱総研理事長、野村総研監査役、日本総合研究所理事長、他大学教授など。 地元2名:東北大学総長、教授
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岩手県
22名 |
全て岩手県民。 座長:岩手大学学長。
業界団体代表(漁協、水産加工、農協、森林組合、商工会議所、工業倶楽部、社協、銀行、NTT、JR) 医師会、看護協会、栄養士会、大学教授3、市民団体3、沿岸部首長、教育委員会
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村井宮城県知事の言い分
県震災復興会議に宮城県関係者を2名しか入れなかったのは、「県内には多くの対策会議が組織され、
地元の皆さまのご意見を聞くことができるようになっており、今回は特に、日本全体を俯瞰しながら作る計画にしたかったいという思いがあったから」 (A P68)
大震災は過去の“本性”を露わにし、復興は“本性”を肥大化させる
1)地域医療の“効率化・合理化”の名のもとの「縮小再編」
- 医師不足を悪用
- 自治体病院縮小、診療所化さらに促進
- 2次医療圏拡大 7つから4つに減らす
- 被災者医療費減免中止・縮小・・・優先順位に入らない
2)平成の大合併の流れで、被災地を人の住めない高い防潮堤と土地造成
3)ゼネコン・大企業に大判振る舞い・・「富県戦略」の肥大化
- 防潮堤、高台移転土地造成、トヨタ系工場支援の強化、JR貨物換地費用
- 民間活力:空港民営化、漁業権民間開放
村井知事の著作
「それでも東北は負けない」2012.3.9(180ページ)
「復興に命をかける」2012.3.7(220ページ)
(株)三菱総研研究レポート「復興提言」
2011.3.18~9.29 7編の「提言」
- 第1弾:2011.3.18「復興提言」
- 第2弾:2011.6.9「東北の被災地域復興に関する提言」
- 東北の再生は、将来の我国の在り方を先導する「課題解決先進地域」とする。
- 未来社会のショーケース
(株)野村総研研究報告
2011.3.30~5.19 11編の「提言」
- 第2回:産業再生プラン、民間活力導入
- 第7回:ICTによるインフラ整備
- 第8回:空港のPPP化(公民連携)
- 第10回:漁協の集約化(漁業基盤整備)、漁業法人導入の薦め
- 第11回:健康医療産業の薦め
岩手県の県立病院統廃合計画
1)基本理念「県下にあまねく良質な医療の均てんを」
- 医療機関の役割分担と連携・・医療政策室長兼医師支援室長(トップ医師)
- 二次医療圏を基本単位として中核病院と公立病院・公立診療所との連携
- 市町村・地域包括支援センターとの連携
県立病院群全体として一体的・効率的運営
- 総務省公立病院改革
3年連続病床利用率70%未満のところは削減対象
- この間のリストラ(その一部)
病院→有床診療所→無床診療所・・住田町
病院→有床診療所→民間移管→県営無床診・・花泉町
私たちの課題
〈情報を知る〉
県政を身近に引き寄せる努力・・保険医協会企画
- 県政担当官の招へい講演、懇談
- 地域医療対策協議会等県政機構メンバーの招聘講演、懇談
〈政策を作る〉
各種アンケートからの政策つくり
〈交流〉
被災3県での交流
〈岩手県を研究〉・・・
岩手県の医療に関する県民の相談。苦情受付システム
相談窓口は、盛岡市相談センター全県10の保健所各医療機関となっている。
岩手県医療構想:急性心筋梗塞の医療体制・・《歯科医療との連携》が組み込まれている。
県立病院リストラ・診療所化に対しての県医療局労組と県民各地の運動が澎湃として起こった。
七〇〇名の決起集会・デモ10万人の署名などとともに、地域に医療を守る住民組織が結成された。
総務省公立病院改革ガイドライン07年以前から県立病院病床削減・診療所化が強行されていた。
2009年補正予算成立時に、知事の4回の“土下座”事件あり。
岩手県から学ぶ いくつか県民の視点から・・保険医協会として
- ①
- 県民・住民の参加、公立病院・診療所を守る
- ②
- 医療相談・苦情の窓口と集約・検討・公開
- ③
- 各種審議会のメンバーと意見交換
- ④
- 岩手県視察調査・交流
資料紹介
「地域の医療供給と公益性ー自治体病院の経営と役割ー
- 第1章
- 大震災被災地の医療復興とそこに見える問題
ー公的医療を支えることで生み出す価値ー 村口 至
- 第2章
- 地域医療崩壊の現段階と自治体病院の今後 八田英之
- 第3章
- 地域医療・自治体病院再編の動向と住民・労働組合等の取り組み 山本裕
- 第4章
- 自治体病院の財政制度と財政問題 根本守
- 第5章
- イタリア・ボローニャの地域医療システムの構造 石塚秀雄